絵本 だいじょうぶだよ、モリス

子どもがよく寝る絵本として有名な「おやすみ、ロジャー」の著者、行動科学の専門家であるカール=ヨハン・エリーンさんのシリーズ第三弾です。

今回は睡眠ではなく、「こわい」と「いやだ」をなくす絵本です。

子供向けの絵本ですが、大人でも使える心理的な手法で、考え方をプラスに転換する方法が書かれている絵本です。

特に子供期は、初めてのことや、よくわからないことにはとても不安になるし、恐怖を覚えます。

実際に私が子供の時もそんなことはよくありました。それは大人になってからも度々あります。

それでも大人であれば、なんとか立ち向かうことができる事柄でも、子供は非力ですからその不安な気持ちはもっともっと大きいものなのではないでしょうか?

 

もちろん、器質的なものもあって、私の子どもたちは、ものすごく気持ちを転換させるのが上手で、不安な気持ちとか、恐怖心が全くない子供たちです。母親である私には、あまりにもそういう気持ちがなさ過ぎて、逆に不安に感じるほどです。

なので、自分の子どもたちにはそれほど必要ない題材なのかな?とも思いますが(笑)

逆に自分は子供の時から不安や恐怖を感じやすく、いつもマイナスなことを考えては最悪の事態を予測し、そうなってもいないのにビクビクしていることがよくあったと思います。

例えば、親と一緒に遊園地などの行楽地にいくとき、「迷子になったらどうしよう」とか「けがをしたらどうしよう」とか、いろんなことを考えていました。

だから、楽しいはずのお出かけも、いつも100%楽しむことはできなかった思い出があります。

終わって帰ってくると「無事でよかった」と思うくらいでしたから。

だから、子供の時の私は、気持ちをどんどん転換していける他の子たちがうらやましかったです。

私はものすごく小さくて、他の子には気にならないような事項も、ものすごく気にして、ずいぶん長い間そのことが頭の中をめぐっているような生活を送っていました。

さすがに大人になった今では、それほどマイナスなことは考えなくなりましたが、それでも、やっぱり少しは考えてしまいます。

 

この絵本に出てくるお母さんやお父さんたちがしているように、まずは不安な気持ちを受け止めて、それからその気持ちを転換する訓練をしていれば、今よりもっと気分を転換できたのかな?とも思いました。

 

今回の絵本の訳は、オリエンタルラジオ中田敦彦さんが訳していて、原作では男の子のモリスですが、日本語版では男の子でも女の子でも解釈できるようになっているのがよいところです。

モリスの絵もどちらにでも取れるものだから、お子さんの性別に合わせて変えてあげればより感情移入しやすくなりますもんね。

 

ただ、結構文字数が多かったり、説明的な文章が多いので、小さな子供には物語を読んで理解するというのが少し難しそうでした。

親が後ろの解説と一緒に読んで理解したうえで、わかりやすいように場面に応じて提示する必要があるかな?というのが正直な感想でした。